離婚・別居前にしておくべきこと【前編】

はじめに

離婚の相談に来るお客様より「離婚・別居前にしておくことはありますか?」という質問をよく受けます。
今回は,離婚・別居前にしておくと、調停等手続きがスムーズになる事柄を解説します。
やや長くなるので、前後編に分けて解説します。

離婚・別居前にしておくべきこと5つ

離婚前に最低限やってほしいことは次のとおりです。

①夫と妻、両方の「課税証明書」を役所で取得してください。
②別居の開始は、相手の口座に一番お金が入っている日に。
③夫名義の通帳と妻名義の通帳の残高をコピー。
  ※特に別居する時点の口座の残高が分かるのが一番良いです。
④通帳の表紙と表紙を1枚めくったページをコピー。
⑤ローンの残債や保険の解約返戻金が分かる書類をコピー。

「どうして、これらのことをしないといけないの?」と疑問が出てくると思うので、説明していきますね。

悩む男性

「課税証明書」は相手の収入の証明に使う

①でお願いしている「課税証明書」には、年収や納税額が記載されています。
「課税証明書」は、婚姻費用や養育費を算定する際に必要になります。
婚姻費用や養育費は、夫と妻双方の収入を基に額を決めるためです。
では、課税証明書がないとどうなるでしょうか。
課税証明書がない場合は、相手に任意に課税証明書や源泉徴収票、確定申告書の写し等収入が分かる書類を出してもらうことになります。
しかし、裁判所から出せと言われても出さない人もいます。
その場合は、「賃金センサス」という
「〇歳の男性・女性で同じくらいの学歴同じくらいの年齢の人は平均的にこれくらい稼いでいるよ」
という表を参考にして、婚姻費用・養育費の額を決めることになります。
そうすると、実際に相手が稼いでいる年収より低い額を元に婚姻費用や養育費が決められてしまう可能性が出てきてしまいますね。
だから、課税証明等の収入資料はとても重要なのです。

計算

「課税証明書」は別居前にあらかじめとるのが一番!

夫婦が別居している間は、他方配偶者の課税証明書をとることはできません。
また、弁護士会照会でも取得できません。
ですから、別居前にあらかじめ役所で課税証明書をとっておくのが一番スムーズなのです。
課税証明書を取得した結果、相手から伝えられていた年収よりも、実際の相手の年収がとても高かった・・・なんてことも日常茶飯事です。
弁護士事務所に相談する際に、妻と夫の課税証明書を持ってきていただければ、正確に婚姻費用や養育費の額を算定することもできます。
手元に資料がないと「たぶんこれくらい」という額しか出せません。
弁護士への相談をより実のあるものにするためにも、是非課税証明書を取得した上で、ご相談にいらしてください。

残りの②~⑤については,後編のコラムでご説明しますね。

【後編はこちら】

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